「勇者計画アヴェルブレイバー」・登場人物表
久遠寺 勇里(28)主人公
槇原 真希(28)
葛西 丈二(26)
隊員
ブレイバー
どこかの戦場
・勇里「……」
・隊員「久遠寺隊長、どうかしましたか。何か考え事でも」
・勇里「いや、別に大したことじゃないよ」
・隊員「敵の数はこれまでより少ないようです。大事を取ってC型装備に換装していますから、心配はないと思いますが」
・勇里「まあね。こちら、アサルト1。第13機甲小隊全員に告げる。作戦通り敵本陣を包囲、照明弾による合図とともに、一斉攻撃を開始せよ」
・隊員「ラジャー」
・戦場全体に走る緊張の中、照明弾が発射される
・勇里「全機、攻撃を開始せよ」
・N勇里「あ、そうだ。ロボットの名前、アヴェルブレイバーにしよう」
・N勇里「時は、西暦2216年。これを聞いている21世紀の君らにとって、この物語は近未来の出来事だと思う。だからこそ言っておきたい。百年やそこらじゃ、人間は大して進歩してない。まして、男の理想なんてぇモンは、未来永劫変わらないんじゃないかぁ?と、俺は思ってしまった。いやそう確信する!」
暗闇・カラカラと回る8ミリ
・丈二・真希「アヴェルブレイバー?」
・勇里「そう!それが、本計画で建造されるスーパーロボットの名前だ!」
・丈二「ブレイバーは勇者だよな。まあ典型できでかっこいいのはわかるけどよ」
・真希「アベルって旧約聖書に出てくるアダムとイブの子供よね。殺す方?殺される方?」
・勇里「あえて言おう!かっこいいからこの名前にした!」
・丈二「んな無茶苦茶な……」
・勇里「さて諸君! 本計画について、詳しく説明しよう!」
・丈二・真希「……」
・勇里「クラウドファンディングといえば、集まった投資金額毎に計画の規模を拡張していくのが重要だ。この勇者建造計画もそれに習っている。」
・丈二「はぁ……」
・真希「聞いちゃいないわね」
・勇里「第一段階。1千億セル!全長18メートルの人型ロボット!陸上走行速度、時速50キロ!武装なし!」
・丈二「ほほう。割りと現実的なラインからのスタートだな」
・真希「このくらいのスペックなら一千億でお釣りが来るわね」
・勇里「第二段階。1千1億セル! ロケットパンチ追加!」(ロケットパーンチ!どかーん!)
・丈二「こまけえ……」
・真希「最初に追加するのがロケットパンチ? もっと他にあるでしょ、大事なことが……」
・勇里「第三段階。1千2億セル!顔のデザインが勇者フェイスになります!」(ガオ!ガ○!ガー!ずばーん!)
・丈二「わーかったわかった。細かい所は良い。もう少し設計思想が分かる段階を教えてくれ」
・勇里「~~~つまらん奴め。しかたない、第93段階。(ギューン!がっきーん!)戦闘機との合体機構を追加!」
・丈二「(ガタガタガタ!)なっ!? が、合体させろってぇ!?」
・勇里「合体のない勇者ロボなど、勇者ロボではない!」
・丈二「そういう問題じゃねえ!お前なぁ!合体ロボのリスクの高さをわかって言ってるのか!?」
・勇里「投資者を満足させることも、クラウドファンディングには大事な要素だぞ?」
・丈二「合体メカの王者ゲッ○ーロボも、合体にゃえらい苦労してるだろうが!」(チェーンジゲッ○ー!)
・真希「何よそれ……」
・丈二「本物の戦場で合体変形のリスクなんぞ犯す意味は欠片もねえ!だいたい、誰が苦労すると思ってんだ!!」
・真希「……ふ~ん。できないの? 勇者建造計画・設計主任の葛西丈二クン?」
・丈二「んぐっ!……」
・真希「いつもは『俺に設計できない機械はない』って、息巻いてるくせに」
・丈二「ん……んんんん……」
・勇里「できるよな?丈二」
・丈二「お、おお!! やらいでか! やってやるよ!馬鹿野郎!」
・勇里「さーて、続きましてはと。第125段階。(ギューン!がっきーん!)人工知能【超AI】を搭載。人間と同等の知能を持ち、対話・思考・自律制御も可能にする」
・真希「(ガタガタガタ!)んな!!? 対話型人工知能!!?」
・勇里「パイロットと対話し、時間を共有し、共に成長する。それなくして勇者ロボは勇者ロボたりえない!」
・真希「そういう問題じゃない!あのロボットアニメに出てくるレベルの人工知能の開発にどれだけの技術と人手と時間がかかるか分かって言ってるんでしょうね!!」
・丈二「おやぁ~~~……? おやおやおやぁ~~~?」
・真希「うっ……」
・丈二「日頃『私に組めないプログラムはない』とかなんとかほざいてる槇原真希さんともあろう方が、まさかぁ~……」
・真希「くっ…… わ、わかったわよ!やればいいんでしょ、やれば!」
・丈二「で、最終的なスペックはどうなってんだ?」
・勇里「平たくいうとだな」
勇里の脳内
・勇里「いくぞ!ブレイバー! ジェットマシーンアヴァロンと合体だ!」
・ブレイバー「了解した!」(あわよくば合体ソング)
・勇里「勇壮合体!アヴェルブレイバー!」
・ブレイバー「青い空!白い雲!緑の大地を守るため! 勇者計画アヴェルブレイバー 我ここに推参!」
再び3人の会話
・勇里「と言う感じだ」
・丈二「どこも平たくなってねえわ!」
・真希「葛西くん、このアホにそういうこと言っても無駄よ……」
・勇里「ということで、頼むぞ! 諸君!」
第ニ話 完
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